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車のガラスは紫外線をどこまで防ぐのか — JAFが4台で測った数字と、フィルムを貼る前の1条件

公開: 2026-09-13 / 更新: 2026-09-13

カーグッズのイメージイラスト

日焼け止めを塗ってから運転する人はいても、自分の車の窓が紫外線をどれだけ止めているかを知っている人は多くありません。窓を閉めていれば大丈夫、という感覚だけが先にあります。

JAF(日本自動車連盟)は「JAFユーザーテスト」として、ガラスの種類が違う4台を並べ、4か所の窓ごとに紫外線の強さを測っています。結果を見ると、ガラスの種類によって同じ面の数字が3桁も開き、しかも差が大きいのは意外な場所でした。この記事では、その実測値と、対策グッズを買う前に確かめておく条件を整理します。

先に結論

  • フロントガラスは、オープンカーを除く3台とも1桁台だった。UVカット機能のないクリアガラスの車でも6.5μW/c㎡。JAFはこれを合わせガラスの義務化で説明している
  • 差がついたのは横と後ろ。前席側面はクリアガラス1,044・UVカットガラス275・スーパーUVカットガラス0.8と、3台で3桁の開きがあった
  • 腕に貼ったUVラベルが赤く変わるまでの時間は、オープン状態で3分30秒、クリアガラスで16分30秒。一般的なUVカットガラスは30分後にわずかに赤くなり、スーパーUVカットガラスは色が変わらなかった
  • 対策グッズは顔付近で5〜8割ほど紫外線を減らした(UVカット機能のないガラスでの検証)。ただし前席の側面に貼るものには可視光線透過率70%という線があり、これはガラスとフィルムを合わせた数値で判定される

大事なのは対策グッズが効くかどうかより先に、自分の車のどの面が弱いのかを知ることです。順に見ていきます。

4台×4面の実測 — ガラスの種類で桁が変わる

テストは2018年4月4日、埼玉県戸田市の彩湖・道満グリーンパーク駐車場で行われました。用意されたのは4台です。

  • マツダ ロードスター — 直射日光をまともに受ける状態で比較するためのオープンカー
  • ダイハツ エッセ — UVカット機能のないクリアガラス装着車
  • 日産 キューブ — 約90%紫外線をカットする一般的なUVカットガラス装着車
  • トヨタ アルファード — 約99%紫外線をカットするスーパーUVカットガラス装着車

それぞれの窓に日差しが当たるよう車の向きを変えて、紫外線強度を測った結果が次の表です。

車(ガラスの種類)フロント前席側面後席側面リア
ロードスター(オープン状態)3432,620—2,015
エッセ(クリアガラス)6.51,044199.21,006
キューブ(UVカットガラス)3.227564.916.9
アルファード(スーパーUVカットガラス)0.30.80.00.9

単位はμW/c㎡(マイクロワット・パー・平方センチメートル)。ロードスターはサイドウィンドーとソフトトップ(リアガラス)を下げた状態での計測で、後席側面の数値はありません。計測位置は面ごとに違い、フロントは顔付近、前席側面は右腕付近、後席側面は顔の右側、リアは首の後ろです。したがってこの表は、同じ面で車どうしを比べるための表で、1台の中で面をまたいで大小を比べることはできません。出典はJAFユーザーテスト「クルマに乗っていれば、日焼けしない?」の結果図。

JAFはこの結果を次のようにまとめています。

それ以外のガラスでは、UVカット機能の有無で差が出た。「UVカットガラス」が275μW/㎠以下だったのに対し、「クリアガラス」の前席やリアガラスは1,000μW/㎠ を超えた。一方、4カ所すべてで紫外線強度が低かったのが「スーパーUVカットガラス」で、すべて1μW/㎠以下と「99%紫外線カット」を裏付ける結果となった。

フロントガラスは、オープンカーを除く3台で1桁だった理由

表で目を引くのは、UVカット機能を持たないエッセでもフロントガラスが6.5にとどまったことです。JAFはこの面について「フロントガラスは、オープンカー以外すべて数値が1桁以下と低かった。」と書き、理由をこう続けています。

フロントガラスは約30年前にフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化され、フィルムには紫外線をカットする機能も備わっているからである。

合わせガラスは、2枚のガラスのあいだに樹脂の中間膜を挟んだ構造です。この中間膜は、割れても破片が飛び散らないためのものですが、紫外線を吸収する働きも持っています。つまり運転席の正面は、UVカットガラスを選んだかどうかに関係なく、安全のための構造によってすでに守られていたということになります。

ただし、合わせガラスが使われるのはフロントだけとは限りません。国土交通省は一部の車種ではサイドガラスやリアガラスにも合わせガラスが使われているとしています。JAFのページには、テストに使った4台のガラスがどの面で合わせガラスなのかは書かれていないため、ここで言えるのはフロントガラスは全車が合わせガラスというところまでです。

同じ合わせガラスは、別の場面でも顔を出します。水没時などに窓を割って脱出する道具は、この合わせガラスを割ることができません。同じ1枚のガラスが、日焼けの話では味方に、脱出の話では壁になります(→ 脱出用ハンマーの選び方 — 国が51銘柄を試した。それでも最初に確かめるのは、自分の車の窓)。

差が出たのは、横と後ろ

前席側面を同じ面どうしで比べると、クリアガラス1,044・UVカットガラス275・スーパーUVカットガラス0.8です。JAFはテストの背景として、UVカットガラスは「現在ではほとんどの車に採用されている」、スーパーUVカットガラスは「一部の車に採用され始めており」と書いています(いずれも2018年時点の記述)。

後ろも同じで、リアガラスはクリアガラス1,006・UVカットガラス16.9・スーパーUVカットガラス0.9でした。UVカットガラスのキューブは、前席側面275に対してリア16.9と、同じ車でも面によって効き方がそろっていません。ただし前席側面は右腕付近、リアは首の後ろでの計測なので、この2つを直接比べることはできません。理由もJAFのページには書かれていません。

数字をもう少し身体的な感覚に落としたのが、2つめのテストです。紫外線の強さで色が変わるUVラベルを腕に貼ったモニターに乗ってもらい、30分間の変化を見ています。

オープンカーは3分30秒、クリアガラスは16分30秒で赤く変化した。スタートから30分後、UVカットガラスはわずかに赤くなったが、スーパーUVカットガラスは色が変わらなかった。

クリアガラスの車でも、窓を閉めていれば屋根なしの4倍以上の時間はかかる。しかし30分に満たないうちにラベルは赤くなっている。一般的なUVカットガラスは30分でわずかに赤くなった。この3段階が、冒頭の表の数字の差に対応しています。

対策グッズは何割減らしたか

JAFは同じテストの中で、グッズの効果も測っています。

UVカット機能のないガラスで、紫外線対策グッズの効果も検証した。サンシェードは後部座席にしか使えないが、フィルムと液剤は前席でも使用できるものを使った。モニターの顔付近で使用前後の紫外線強度を計測した結果、上写真のように5~8割ほど減少した。

ここには、読み落とすと判断を誤る条件が3つ入っています。

  • 検証はUVカット機能のないガラスで行われた。すでにUVカットガラスが付いている車で、同じ5〜8割が上乗せされるという話ではありません
  • 測ったのは顔付近。表の前席側面(右腕付近)とは測定位置が違います
  • サンシェードは後部座席にしか使えないとJAF自身が書いています。JAFはこのサンシェードの使用場面を書いていませんが、後部座席にしか使えないとされている以上、駐車中にフロントガラスの内側に立てるものとは別のものです(駐車中の暑さ対策については → サンシェードは何に効くのか — JAFの実測が示す車内温度とダッシュボードの差)

買う前に確かめる1つの条件 — 可視光線透過率70%

前席の側面に何かを貼るとき、性能より先に効いてくるのが法規の線です。JAFはテストのページに独立した注意書きを置いています。

紫外線や日差し対策でスモークフィルムを貼る人もいるが、フロントガラスと運転席・助手席の側面ガラスは可視光線透過率が70%以上ないと違反になる。透過率はガラスとフィルムを合わせた数値なので、色の薄いスモークフィルムでも注意が必要。

重要なのは後半です。判定されるのはフィルム単体の性能ではなく、ガラスと貼ったものを合わせた状態の数値だという点。もともと色の付いたガラスに、薄いフィルムを足しただけで下回ることがあり得ます。

この線がどこから来ているかを法令側で確かめると、道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第二十九条第三項がこう定めています。

自動車(被牽けん引自動車を除く。)の前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く。)は、運転者の視野を妨げないものとして、ひずみ、可視光線の透過率等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

条文自体に70%という数字は出てきません。「告示で定める基準に適合するもの」としか書かれておらず、具体的な数値は細目告示の側にあります。同じ条文には「側面ガラス(告示で定める部分を除く。)」という括弧書きもあり、側面ガラスの中に対象から外れる部分があること自体は本体が書いています。どの部分が外れるかもまた告示側です。JAFが「フロントガラスと運転席・助手席の側面ガラス」と書いているのは、この構造の実務上の言い換えにあたります。

本記事では70%という数値の出典をJAFの注意書きに置いています。細目告示は法令検索(e-Gov)の収録対象ではなく、当サイトで条文を直接確認できたのは保安基準本体までです。実際に貼る製品が基準を満たすかは、販売店や施工業者にご確認ください。

では、どう選ぶか

ここまでの実測と条件を、買い物の順番に並べ直すとこうなります。

  • 1. 自分の車のガラスがどれかを先に見る。 JAFのまとめも「自分の車のガラスを確認し、それに合わせた日焼け対策をすることが大切である。」で締めています。すでにスーパーUVカットガラスなら、前席側面の実測値は0.8です
  • 2. 貼る場所で製品を分ける。 前席の側面とフロントは可視光線透過率の線があるため、透過率を明示している製品か、施工後に測定してくれる業者かを確認する。後席側面とリアはJAFが挙げた対象に入っていませんが、後方の視界は別の問題として残ります
  • 3. 貼る以外の手段も同じ土俵に置く。 JAFの検証ではフィルム・液剤・後席のサンシェードをまとめて5〜8割の減少と報告しています(製品ごとの内訳は写真での提示で、順位は公表されていません)。車を買い替えるとき、ガラスの仕様を選択肢に入れるのが最も根本的です

紫外線に詳しい神戸大学名誉教授の市橋正光氏のコメントも、JAFのページに載っています。

通常のUVカットガラスでも紫外線B(※)はかなりカットできるので、それほど日焼けを心配することはない。ただし、車の場合はドライブなどで長時間、紫外線A(※)を浴びる危険性がある。より多くの紫外線を長時間浴び続ければ、そのぶん紫外線による細胞遺伝子に対する傷が多くなり、活性酸素が生成され、シワやたるみなどの老化が促進されてしまう。それを防ぐには、よりUVカット機能の高い車に乗ったり、紫外線を防ぐ化粧品で防御することが大切である。

※はJAFのページの注記で、「紫外線A(UVA)はシワやたるみの原因に、紫外線B(UVB)はシミやソバカスの原因になる。」と説明されています。

1回の通勤より、休日の長距離ドライブのほうが問題になる。数字が小さいこと自体より、その数字を何時間浴びるかで考える、という指摘です。

この記事が扱っていないこと

  • どの車種にどのガラスが付いているか。 JAFは「同じ車種でも、年式・グレードによって装着されるガラスが異なる場合があります。」と注記しています。表に出てくる4台の車名も、そのテスト車の仕様であって車種全体の性能ではありません
  • 製品ごとの性能比較。 JAFが測ったのは「フィルム」「液剤」「サンシェード」という種類で、銘柄別の順位は公表されていません
  • 医学的な影響の程度。 上のコメント以上のことは当サイトでは判断できません
  • 後席側面の数値が前席側面より低い理由。 エッセ(199.2対1,044)もキューブ(64.9対275)も後席側面のほうが低い数値ですが、計測位置が違ううえ、理由はJAFのページに書かれていません

まとめ

  • フロントガラスは合わせガラスの義務化によって、UVカット仕様を選ばなくても紫外線が低かった(クリアガラス車で6.5μW/c㎡)
  • 車の種類で差がつくのは横と後ろ。前席側面はクリア1,044・UVカット275・スーパーUVカット0.8、リアはクリア1,006・UVカット16.9・スーパーUVカット0.9
  • UVラベルが赤くなるまではオープン3分30秒・クリア16分30秒。30分後、一般的なUVカットガラスはわずかに赤くなり、スーパーUVカットガラスは変化なし
  • 対策グッズは顔付近で5〜8割減(UVカット機能のないガラスでの検証)
  • 前席側面とフロントに貼るなら、ガラスとフィルムを合わせた可視光線透過率70%という線がある

出典: JAF(日本自動車連盟)「JAFユーザーテスト」より「クルマに乗っていれば、日焼けしない?」(2018年4月4日実施)。数値・引用・注意事項はすべて同ページの記載によります。あわせて道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第二十九条第三項を法令検索(e-Gov)で確認しました(2026年6月4日施行の版)。2026年9月13日に確認しています。テストは特定の日時・車両・条件での測定結果であり、JAFは「季節や天候・時間、計測位置で紫外線強度は異なります。」と注記しています。製品の仕様や法令の運用は変わることがあるため、購入・施工時は最新の表示と販売店の説明をご確認ください。

※広告を含みます

貼るものを選ぶときは、貼る場所を先に決めてください。前席の側面とフロントは、ガラスと貼ったものを合わせた可視光線透過率で判定されるため、フィルム単体の表示だけでは可否が決まりません。透過率を明示している製品を選ぶか、施工後に測定してくれる業者に確認するか、どちらかとセットで考えてください。後席側面とリアはその対象に入っていませんが、後方の視界は別に確かめてください。

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