クルマディグDIG DEEPER INTO CARS

ホーム › カーグッズ

サンシェードは何に効くのか — JAFの実測が示す車内温度とダッシュボードの差

公開: 2026-08-19 / 更新: 2026-08-22

カーグッズのイメージイラスト

真夏の駐車場に戻ってきて、ドアを開けた瞬間の熱気。あれを少しでも減らしたくてサンシェードを買った、という人は多いはずです。では、あの銀色の板は実際に何度下げてくれるのでしょうか。

JAF(日本自動車連盟)は「JAFユーザーテスト」として、自動車ユーザーの素朴な疑問を実車で検証した結果を公開しています。その中に、炎天下の駐車場に条件を変えた車を並べて車内温度を測ったテストがあります。数字を見ると、サンシェードは効かないのでも万能なのでもなく、効く場所がはっきり決まっていることが分かります。

先に結論

  • サンシェードで下がった車内の最高温度は57℃→50℃の7℃。同じ条件でダッシュボードは79℃→52℃と27℃下がった
  • 窓を3cm開けた車は車内45℃(エアコンを動かした車を除けば最も低い)まで下がったのに、ダッシュボードは75℃でほとんど変わらなかった。つまり空気を逃がす対策と、日射を遮る対策は別物
  • それでもJAFの結論は「車内温度の上昇を防ぐことはできない」。人や動物を車内に残す口実にはならない
  • 乗り込んだあと最も早く冷えたのは窓を開けエアコンを外気導入にして走り出し、2分後に窓を閉めて内気循環へ切り替える方法で、5分後に28.0℃。冷却スプレーは3分後でも50.1℃で、しかも多くが可燃性ガスを使っている

炎天下に4時間、5台のミニバンで測った

JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」は、2012年8月22日・23日に埼玉県戸田市の駐車場で行われました。天候は晴れ、気温35度。駐車条件の異なるミニバン5台を用意し、正午から4時間、車内温度を測定しています。各車の室温は開始時に25℃へ揃えられました。

条件車内最高温度車内平均温度ダッシュボード最高温度
対策なし(黒)57℃51℃79℃
対策なし(白)52℃47℃74℃
サンシェード装着50℃45℃52℃
窓開け(3cm)45℃42℃75℃
エアコン作動27℃26℃61℃

出典: JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」(2012年8月22日・23日実施)。数値は同テストの掲載値です。

サンシェードと窓開けは、効く場所が違う

この表を縦ではなく横に読むと、面白いことが起きています。

サンシェードを付けた車は、車内の最高温度こそ50℃で、何もしない黒い車(57℃)より7℃低いだけです。ところがダッシュボードの最高温度は52℃で、黒い車の79℃より27℃も低い。5台の中でいちばん低い値です。

一方窓を3cm開けた車は、車内最高温度が45℃で、エアコンを動かした車を除けばいちばん低い。ところがダッシュボードは75℃で、何もしない白い車(74℃)とほとんど変わりません。

つまり、この2つの対策は別のものを下げています。窓開けは車内の空気を入れ替え、サンシェードはフロントガラスから入る日射がダッシュボードの面に当たるのを遮る。同じ「暑さ対策」という言葉でくくられていますが、守っている対象が違います(この読み方は当サイトによる整理で、JAFの資料が因果を説明しているわけではありません)。

ダッシュボードの79℃という数字は、サンシェードを買う理由としては軽くありません。直射日光が当たり続ける面は、触れないほど熱くなります。樹脂やレザーの内装も、そこに置いたものも、その熱にさらされ続けることになります。サンシェードは涼しく乗り込むための道具というより、日射が直接当たる面を守る道具と考えたほうが、実測値とは整合します。

ついでに、対策なしの黒(57℃)と白(52℃)で5℃の差が出ている点も、この表の読みどころです。車体の色も、駐車中の暑さに関係しています。

ただしJAFの結論は「防ぐことはできない」

数字だけ見ると「サンシェードでも窓開けでも多少は下がる」と読めますが、JAF自身の結論はそこに立っていません。

対策なし(黒)の車内温度が一番高く推移していたが、サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない。

50℃も45℃も、人が居られる温度ではありません。エアコンを動かし続けた車は27℃に保たれましたが、これについてもJAFは、エンジンをかけたままでは誤操作で車が動く可能性や、燃料切れでエンジンが止まる可能性、排出ガスの環境面の問題を挙げています。

JAFは2023年8月28日にも、送迎用バスとミニバンで同じ主題を検証しています。この日は14時までは曇りで、最高気温34.0度。それでもわずか1時間後には両車とも車内温度が40℃を超え、最終的に48℃まで上昇しました。ダッシュボードは57.8℃です。車両の大きさによる差は大きくありませんでした。

同じテストでは、熱中症の危険度を示す暑さ指数(気温・湿度・輻射熱などを総合した指標で、単位は℃)も測っています。エアコンを止めてから3分後に「注意」、10分後に「警戒」、21分後に「厳重警戒」、41分後に「危険」レベルに達しました。しかもこれは無人の車内での測定です。このテストについて、帝京大学医学部附属病院の三宅教授は「仮に人が車内にいれば、体温や吐く息などによって暑さ指数はこの実験結果より早く上昇するだろう」とコメントしています。

サンシェードを付けているかどうかに関係なく、子どもや高齢者、ペットを短時間でも車内に残さない。これがJAFの結論であり、この記事でいちばん確かな部分です。

乗り込んでからいちばん早く冷やす方法

駐車中の上昇を防げないなら、次に知りたいのは「戻ってきてからどう冷やすか」です。JAFは2016年6月7日に、車内温度が55℃になった同じ車5台で、下げ方の違いを比べています。

方法結果
ドア開閉(助手席の窓を開け、運転席ドアを5回開閉)47.5℃
冷却スプレーをシートに10秒噴射3分後に50.1℃
エアコン(外気導入・設定Lo)10分後に29.5℃
エアコン(内気循環・設定Lo)10分後に27.5℃
窓全開+エアコン外気導入で走行、2分後に窓を閉め内気循環5分後に28.0℃

JAFの結論は「エアコン+走行」が最も早く車内温度を下げられた、というものです。10分かけて27.5℃まで下げる内気循環に対し、走りながらなら5分で28.0℃に届く。時間あたりで見ると、走り出してしまうのがいちばん速いということになります。エアコンの使い方は燃費にも効くので、ガソリン代を下げる運転と習慣もあわせてどうぞ。

このテストには、グッズを選ぶ人が知っておくべき警告が2つ含まれています。

  • 冷却スプレーは火気厳禁。JAFは「冷却スプレーの多くは可燃性のガスが使われている」ため、服などに残ったガスに引火する危険があると注意しています。換気が不十分な車内で使用後にたばこへ火をつけ、やけどを負った事故も起きているとのことです
  • ボディに水をかけても下がらない。8Lのバケツ3杯分の水をかけて、車内温度の低下は0.9℃でした

では、サンシェードはどう選ぶか

ここまでの実測から、選ぶときに見るべき点は絞れます。使用感ではなく、仕様と目的の話です。

  • 目的をダッシュボードに置く — 実測で27℃の差が出たのはダッシュボードの最高温度でした。車内全体を涼しくする道具ではないと分かっていれば、「付けたのに暑い」と失望せずに済みます
  • フロントガラスを覆いきるサイズか — 遮っているのは日射なので、覆えていない部分にはそのまま日が当たります。車種別設計か、汎用品なら適合寸法の表示を見て、自分の車のガラス幅・高さと突き合わせます
  • 畳みやすさが継続を決める — 駐車のたびに広げて畳む道具です。折りたたみ式・傘型・巻き取り式などがありますが、収納の手間が大きいほど使わなくなります。カタログの収納時サイズと、置き場所(ドアポケットか、荷室か)を先に決めておきます
  • 走り出す前に必ず外す — 前方の視界を塞ぐ位置に付ける道具なので、運転前に取り外して収納する前提で選びます
  • そもそも日陰に止められないか — 屋根のある駐車場や建物の影は、どのグッズよりも効きます。実測が示すのは、道具でできることには上限があるということです

車に常備する道具という意味では、脱出用ハンマーやエアゲージ(タイヤ空気圧計)と同じで、選ぶ基準は、使い心地の前に何のための道具かです。

まとめ

  • サンシェードが実測で大きく効いたのはダッシュボードの温度(79℃→52℃)。車内の温度は7℃しか変わらなかった
  • 空気を下げたいなら窓開けや換気、面を守りたいならサンシェード。効く場所が違う
  • どの対策でもJAFの結論は変わらない。人や動物を車内に残さない
  • 戻ってきたら、窓を開けエアコンを外気導入にして走り出し、2分後に窓を閉めて内気循環へ切り替えるのがいちばん早い。冷却スプレーは可燃性ガスに注意

出典: JAF(日本自動車連盟)「JAFユーザーテスト」より、「真夏の車内温度」(2012年8月22日・23日実施)、「真夏の車内温度~車両の大きさによって差はあるのか~」(2023年8月28日実施)、「夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?」(2016年6月7日実施)。数値・引用・注意事項はいずれも各テストのページの記載によります。2026年8月19日に確認しました。テストは特定の日時・車両・条件での測定結果であり、車種や環境によって値は変わります。製品の仕様は変わることがあるため、購入時は最新の表示をご確認ください。

※広告を含みます

サンシェードで守れるのは、ダッシュボードのような直射日光の当たる面です(79℃→52℃)。車内の空気は7℃しか変わらなかったので、暑さそのものを消す道具ではありません。買うなら、自分の車のフロントガラスの寸法に合う型かどうかを確認してください。

Amazonで「車用サンシェード」を探す

あわせて読みたいガイド

カーグッズ

脱出用ハンマーの選び方 — 国が51銘柄を試した。それでも最初に確かめるのは、自分の車の窓

脱出用ハンマーは3千円未満で買える車の備えですが、国土交通省は買う前に確認すべきことを2つ挙げています。ひとつは、この道具が割れるのは強化ガラスであって、フロントガラスに使われる合わせガラスは割れないこと。しかも一部の車種ではサイドガラスやリアガラスにも合わせガラスが使われています。もうひとつが製品の性能差で、国が市販51銘柄を集めて行った破砕性能調査では、JISマーク準拠の試験で3回中3回割れた製品は53%程度でした。試験の中身と選び方、置き場所、使うときの注意点を一次資料から整理します。

2026-08-22 更新

カーグッズ

エアゲージ(タイヤ空気圧計)の選び方 — 日常点検の1番目の項目は、目で見ても分からない

法律が定める自家用乗用車の日常点検基準は、タイヤの点検内容を4つ挙げ、その1番目に「タイヤの空気圧が適当であること。」を置いています。ところが根拠条文は点検の方法を「目視等により」としており、4項目のうち空気圧だけは見ても分かりません。日本自動車タイヤ協会が2025年に実測した340台では、溝不足が2件(0.6%)だったのに対し空気圧不足は169件(49.7%)でした。エアゲージという道具が要る理由と、測定範囲・単位・空気を抜く機構・携帯性という仕様の読み方を一次資料から整理します。

2026-08-22 更新

カーグッズ

災害時、車から電気は何W取れるのか — 定格9,000Wの給電器でも、100Vのコンセント1口は1,500W

JAFが4台の車で測ったテストでは、電気自動車は1,250Wの電気ポットで30回お湯を沸かしてもバッテリーが3分の2残った一方、駆動用バッテリーを積まない一般的な車にインバーター(定格出力1,000W)をバッテリー直結でつないだ場合は、800Wの電気ストーブを9分使っただけで保護回路が働き給電が止まりました。国土交通省と経済産業省の資料は、車から電気を取り出す口を3種類に分けたうえで、そこでいう充電端子にシガーソケットやUSBポートを含めていません。さらに定格9,000Wの外部給電器でも、AC100Vのコンセントは1口あたり1,500W。数字の意味を整理します。

2026-08-19 更新

カーグッズ

タイヤチェーンは種類で結果が逆転する — 坂を上れたのは金属、曲がって止まれたのは非金属

JAFが同じ前輪駆動車・同じ圧雪路で行った2つのテストで、タイヤチェーンの評価は逆を向きました。ノーマルタイヤに装着して勾配20%の坂を上りきれたのは金属チェーン(亀甲型)だけ。ところが翌日の旋回テストでは、時速30km/hで安定して曲がれたのは非金属チェーンだけで、亀甲型は後輪が滑ってスピンしています。急制動も非金属が最短でした。大雪時のチェーン規制がスタッドレスタイヤや4WDを例外にしない理由とあわせて、買う前に見ておきたいデータを整理します。

2026-08-22 更新

カーグッズ

大雪の立ち往生、車内で何が起きるのか — JAFの実測3本と、冬に積んでおく道具

雪に埋もれたガソリン車は、一酸化炭素濃度が1分24秒で警報値の50ppmに到達し、同時に測っていた酸素濃度も13分14秒で安全限界の18%まで下がりました(JAF・2021年)。JAFがまとめで挙げた対策は、適切な換気とエンジン停止と周囲の除雪の3つ。別の年のテストでは、マフラー周辺を除雪した車だけが終始ほとんど検知されず、窓を5cm開けた車も約40分後には400ppmへ上がっています。電気自動車には中毒の恐れがない代わりに電力の限りがあり、開始時の外気温-8.1℃で5時間過ごした4台は暖房の使い方で残量が分かれました。JAFのユーザーテスト3本を並べて、冬に積んでおく4点を絞り込みます。

2026-08-22 更新

カーグッズ

車のガラスは紫外線をどこまで防ぐのか — JAFが4台で測った数字と、フィルムを貼る前の1条件

JAFがガラスの種類が違う4台を並べて測った2018年のテストでは、フロントガラスはオープンカーを除く3台とも1桁台で、UVカット機能のないクリアガラスの車でも6.5μW/c㎡でした。JAFはこれを合わせガラスの義務化で説明しています。同じ面で比べて差がついたのは横と後ろで、前席側面はクリアガラス1,044・UVカットガラス275・スーパーUVカットガラス0.8と3桁の開きがありました。腕に貼ったUVラベルはオープン状態で3分30秒、クリアガラスで16分30秒で赤く変化し、一般的なUVカットガラスも30分後にわずかに赤くなっています。対策グッズはUVカット機能のないガラスでの検証で顔付近5〜8割減。ただし前席側面に貼るものには、ガラスと合わせて判定される可視光線透過率70%という線があります。

2026-09-13 更新

最近公開した記事

クルマを知る

作った側だけが書いた速度、売る側だけが書いた商標 — ムーヴとステラ、同じ改良の2本のニュースリリース

2026年7月29日にダイハツ工業が「ムーヴ キャンバス」「ムーヴ」の一部改良を発表し、その8日後の8月6日にSUBARUが「ステラ」改良モデルを発表しました。SUBARUは本文に「※ステラは、ダイハツ工業株式会社からのOEM供給です。」と書いています。2本を並べると、追加された検知対象(横断中の自転車・交差点の対向直進車・右左折時の横断歩行者)やACC・LKCの向上は両方に出てくる一方で、「対歩行者への最高速度条件が60km/h→80km/hに変更」はダイハツ側にだけあり、OEM供給であること・商標がダイハツ工業の登録商標であること・販売計画400台/月・ACCやメーターの対象グレードはSUBARU側にだけありました(価格は両社とも載せていますが、ダイハツ側は画像の価格表です)。一方に記載がないことはその装備がないことを意味しませんが、1台のクルマについて知りたいことが2本のリリースに分かれて載る、という読み方ができます。

2026-09-23 更新

カーグッズ

西日で見えなくなるのは前方の人だった — サンバイザーは5つを取り戻し、サングラスは眩しさを抑えても4体は✕のままだった

秋冬の夕方、正面から入る西日。JAF(日本自動車連盟)が日照装置で西日を再現し、前方に置いた7つの対象(マネキン4体・対向車2台・信号機)が運転席から確認できるかを測った実験があります。サンバイザーを使わない状態で○が付いたのは、ヘッドライトを点灯した対向車だけ。サンバイザーを使うと、○でなかった6つのうち5つが戻り、残った信号機が✕になりました。可視光線透過率15%・30%・75%の3種類のサングラスについて、JAFは眩惑を抑える一定の効果を認めていますが、表ではマネキン4体が12マスとも✕のままです。眩しさが減ることと、見えるようになることが別だった実験を読み解きます。

2026-09-22 更新

クルマを知る

冬の空調エネルギーの半分は、窓の曇りを取るために消えている — マツダが窓の内側に塗った膜と、試算で183kmから201kmへ

窓の曇りは快適さの問題に見えます。ところがマツダ技報 No.41(2025)の論文は、曇りを取る理由の先に「安全な運転を担保するために」を置き、そのうえで課題を「低エネルギーで快適な空調」と置きます。外の冷たい空気をヒーターで温めて乾いた風を送るのが現在の防曇手法で、窓の曇りを避けるための換気により冬場の空調エネルギーのおよそ半分が失われている、と。エンジン車はその熱を排熱から借りられましたが、電動車にはその副産物がありません。論文の試算(−10℃・90%RH・乗車2人・50km/h・30分ほか)では、暖房OFFの前提256kmが外気導入100%で173kmへ落ち、現状の内外気制御で183km、吸水性の防曇窓で201kmまで戻ります。防曇材料は3種類あり、親水性は暗所で効かず水膜が凍る、撥水性は大面積化が難しい——残ったのが吸水性でした。一次資料から読み解きます。

2026-09-21 更新

クルマを知る

1つの工場で1つの機種、が世界の常識だった — 後発のホンダが選んだ「治具を10分で替えるライン」

クルマを作る機械は誰が用意したのか。ホンダが公開している「本田技研工業 75年史」第Ⅲ章 第6節「生産技術」によれば、当時の世界の主要メーカーは1つの工場で1つの機種を作るのが通常でした。小型乗用車に後発で参入したホンダはそれを採らず、本体は全機種共用・治具部は機種専用に分けた総合溶接機を開発し、治具交換台車で10分程度の切り替えを実現します。ただし機械の単位で見ればこの分け方は車体が最初ではなく、1956年のHUM盤がエンジン部品で同じ課題を解いていました(ラインとしては機種ごとの専用が長く続いた、とも社史は書きます)。河島喜好の「何にでも使える機械などはつくってくれるな」が意味するのも、1機種専用ではなく市販の汎用機を買わないことです。そして2001年、電動ロボットは自社製をやめる判断まで。一次資料から読み解きます。

2026-09-20 更新