クルマディグDIG DEEPER INTO CARS

ホーム › 保険

ロードサービスの使い方 — JAFと自動車保険付帯の違い、どっちを呼ぶ?

公開: 2026-07-23 / 更新: 2026-07-24

保険のイメージイラスト

バッテリー上がり、パンク、ガス欠、脱輪——車のトラブルで頼りになるのがロードサービスです。呼び先は大きく「自動車保険に付いてくるロードサービス」と「JAF」の2つがあり、違いを知らないまま非会員でJAFを呼ぶと、保険なら無料だったはずの作業に2万円以上払うことにもなりかねません。この記事では両者の違いと使い分け、実際に呼ぶときの手順を整理します。

ロードサービスで頼めること

どちらのサービスも、現場での応急作業と、自走できない車のレッカー移動(けん引)が柱です。

作業内容
バッテリー上がりジャンピングでのエンジン再始動(バッテリー上がりの対処法)
レッカー移動自走できない車を修理工場などへ運ぶ
パンクスペアタイヤへの交換や応急対応
キー閉じ込み車内に鍵を残したままロックしてしまったときの解錠
燃料切れガソリンのお届け(高速道路上のガス欠は違反にもなります)
落輪・スタック側溝への脱輪や雪道・ぬかるみからの引き上げ(対応可否はサービスによる)

出動理由の上位は例年バッテリー上がりとタイヤのトラブルで、どちらも出発前の点検でかなり防げるトラブルでもあります。

決定的な違い — JAFは「人」に、保険は「車」につく

2つのサービスの最大の違いは「何に対して提供されるか」です。保険のロードサービスは契約している車に付くので、その車のトラブルなら誰が運転していても使えますが、別の車では使えません。JAFは会員本人に付くので、友人の車でもレンタカーでもバイクでも、自分が運転中でも同乗中でも使えます。

項目自動車保険付帯JAF(会員)
対象契約車のみ(運転者は問わない)会員本人(車を問わない。バイク・レンタカー・同乗中もOK)
費用保険料に込みが一般的入会金+年会費(個人は年4,000円+入会金2,000円)
利用回数作業ごとに年間回数の制限あり(会社差)制限なし
けん引無料距離会社差が大きい(例:100km、指定工場まで無制限など)20kmまで無料(超過は有料)
対応範囲契約による。自然災害や雪道スタックは対象外の会社が多い広い(雪道・自然災害・チェーン着脱なども対応)

※金額・距離・対象は目安です。改定や契約内容により変わるため、必ず各社・JAFの公式情報で確認してください。

自動車保険のロードサービス — まず自分の契約を確認

ほとんどの任意保険に自動付帯

いまは大手代理店型・ダイレクト型を問わず、ほとんどの任意保険にロードサービスが自動的に付いています。追加保険料なしが一般的で、「付いているのを知らずにJAFを非会員料金で呼んでしまった」が最ももったいないパターンです。保険証券や公式アプリ・マイページで、付帯の有無と内容を一度確認しておきましょう(自動車保険の選び方)。

使っても等級には影響しない

ロードサービスの利用は保険金の請求ではないため、使っても等級は下がらない(ノーカウント)のが一般的です(等級制度の仕組み)。ただし、トラブルの「修理代」に車両保険を使えば、そちらは保険金請求として等級に影響します。レッカーだけロードサービスで頼み、修理は自費で行う使い方も可能です。

無料の範囲は会社差が大きい

  • けん引の無料距離 — 「100kmまで無料」「保険会社の指定する工場までなら距離無制限」など、会社によって大きく異なります。距離超過分は自己負担
  • 回数制限の例 — バッテリー上がりの応急始動は保険年度に1回まで、燃料切れはガソリン10Lまで年1回(契約初年度は対象外の会社も)など
  • 対象外になりやすい例 — 鍵の紛失(閉じ込みとは別扱い)、雪道・ぬかるみからの引き上げ、台風・洪水など自然災害によるトラブル、著しい整備不良や劣化が原因の場合など

JAFのロードサービス — 会費はかかるが「人」につく

会員なら応急作業は無料・回数無制限

JAFの個人会員は入会金2,000円+年会費4,000円(同居家族向けの家族会員は年2,000円)。会員ならバッテリー上がりの応急始動・パンク時のタイヤ交換・キー閉じ込みの解錠・燃料切れ(燃料代は実費)などの作業が無料で、けん引も20kmまで無料です(2024年4月の改定で15kmから延長。超過分は1kmごとに加算)。利用回数に制限はありません。

契約車以外でも、バイクでも使える

前述のとおりJAFのサービスは会員本人に付くため、マイカー以外の車・レンタカー・カーシェア・バイクや原付でも利用できます。複数の車がある家庭、家族の車や社用車をよく運転する人、二輪にも乗る人ほど効果が大きい仕組みです。

保険が対象外にしがちな領域に強い

雪道・ぬかるみからの引き上げ、タイヤチェーンの着脱、台風・大雨による水没対応(台風・冠水への備え)など、保険付帯サービスでは対象外になりがちなトラブルにも対応します。降雪地帯に住む人やアウトドアによく出かける人には大きな安心材料です。

非会員でも呼べるが高額

JAFは非会員でも呼べますが全額有料で、2024年4月の料金改定で大きく値上がりしました。目安としてバッテリー上がりの応急始動が昼間・一般道で2万円強(夜間はさらに割増)、けん引を伴うと4万円を超えることもあります。場所(一般道か高速か)と時間帯で変わるため、正確な金額はJAF公式サイトの料金検索で確認してください。

どうするのが正解? 判断の目安

  • まず現状確認 — 自分の任意保険のロードサービスの内容(けん引無料距離・回数制限・対象作業)を確認する。すべてはここから
  • 保険付帯だけで足りることが多い人 — 乗るのは契約車だけ・市街地中心・車が比較的新しい
  • JAF加入を検討したい人 — 家族の車・社用車・レンタカー・バイクにも乗る/雪国や山道・アウトドアが多い/車齢が高くトラブルが心配
  • 併用には相乗効果 — 多くの損保にはJAF会員向けの優待があり、JAF会員なら保険側のけん引無料距離が延長されるなど、無料範囲が広がる会社もあります

実際に呼ぶときの手順

1. 安全確保が最優先

後続車から見える位置でハザードを点け、車と人を安全な場所へ。特に高速道路上では止まった後の行動が命に関わります——高速道路トラブルの安全確保5ステップを必ず先に確認してください。

2. 窓口に連絡する

  • 事故のとき — 警察への報告とあわせて保険会社の事故受付へ(事故対応の手順)。レッカーの手配も事故受付がまとめて行うのが通常です
  • 故障・トラブルのとき — 保険のロードサービス専用窓口(保険証券・アプリに記載)、またはJAF(短縮ダイヤル#8139・アプリ・Webからの救援要請)

伝えることは「場所(高速はキロポスト、一般道は住所や目印。アプリの位置情報共有も使えます)」「症状」「車種と色」「同乗者の人数」です。

3. 自分で勝手に業者を手配しない

保険のロードサービスを使うつもりなら、必ず保険会社の窓口を通して手配してください。先に自分でレッカー業者を呼んでしまうと、サービスの対象外になったり、費用が全額自己負担になったりすることがあります。

まとめ

  • ロードサービスの呼び先は「自動車保険付帯」と「JAF」の2つ。保険は「車」に、JAFは「人」につくのが決定的な違い
  • 保険付帯はほとんどの任意保険に自動で付いており、使っても等級に影響しないのが一般的。ただし無料距離・回数・対象範囲は会社差が大きいので契約確認を
  • JAF会員は応急作業無料・けん引20kmまで無料・回数無制限。契約車以外やバイク、雪道スタック・自然災害にも強い。非会員利用は2万円を超えやすい
  • 呼ぶときは安全確保→窓口へ連絡。先に自分で業者を手配しない。事故のときは保険会社の事故受付へ

※会費・料金・無料範囲・対象作業は改定や契約により変わります。この記事の金額は2026年7月時点の目安です。最新はJAF・各保険会社の公式情報で確認してください。

あわせて読みたいガイド

保険

自動車保険の選び方 — 補償の優先順位と保険料が決まる仕組み

任意保険は何を付ければいい?補償の優先順位に加え、等級・型式別料率クラス・ASV割引といった保険料が決まる仕組みを、損害保険料率算出機構の公表資料から読み解きます。2026年6月に届け出られた参考純率の引き上げと、新設される運行特性区分も解説。

2026-08-19 更新

保険

自動車保険の等級制度とは — 事故で保険を使うと保険料はいくら上がる?

等級は保険料を決める料率区分の中で較差が最大(約5.62倍)。損害保険料率算出機構の公表資料から、ノンフリート等級の仕組み、3等級ダウンと1等級ダウンの違い、同じ等級に2つの保険料がある「事故有」区分、そして保険を使うか自腹かの判断材料になる支払統計まで読み解きます。

2026-08-19 更新

保険

車両保険は必要か — 一般型とエコノミー型の違いと、支払統計から見る判断の考え方

車両保険を付けるか外すかを、損害保険料率算出機構の公表統計から考えます。支払いの頻度と1件あたりの金額、事故形態別の内訳、エコノミー型の正体である2つの特約、車両価額協定保険特約と免責金額の仕組み、修理費が上がっている理由と2027年1月以降の参考純率改定まで整理します。

2026-08-19 更新

保険

台風・大雨から車を守る — 冠水への備えと水没したときの保険・手続き

台風・集中豪雨シーズンに向けた車の事前対策(ハザードマップ・駐車場所の見直し)、冠水路に出会ったときの判断、水没時のNG行動と脱出方法、車両保険の適用範囲(台風・洪水は対象、地震・津波は対象外が通例)と等級への影響、全損時の手続きまで解説します。

2026-08-19 更新

保険

自賠責保険とは — 補償内容・保険料・期間と切れたときの重い罰則

自賠責保険(強制保険)は任意保険と何が違う?自動車損害賠償保障法の条文・支払基準の告示・損害保険料率算出機構の統計をたどり、補償の中身と限度額、支払われる単価、どこで入っても同じ理由、2026年11月の13年ぶり改定、実際の支払データまで解説します。

2026-08-04 更新

保険

交通事故を起こした・もらったときの対応手順 — 現場での義務から警察・保険・示談まで

事故直後にやるべき4つの法律上の義務(停止・救護・危険防止・警察への報告)から、現場で記録すべき情報、保険会社への連絡、交通事故証明書の取り方、物損から人身への切替、もらい事故で自分の保険会社が示談交渉できない理由まで、時系列で解説します。

2026-07-23 更新

最近公開した記事

クルマを知る

作った側だけが書いた速度、売る側だけが書いた商標 — ムーヴとステラ、同じ改良の2本のニュースリリース

2026年7月29日にダイハツ工業が「ムーヴ キャンバス」「ムーヴ」の一部改良を発表し、その8日後の8月6日にSUBARUが「ステラ」改良モデルを発表しました。SUBARUは本文に「※ステラは、ダイハツ工業株式会社からのOEM供給です。」と書いています。2本を並べると、追加された検知対象(横断中の自転車・交差点の対向直進車・右左折時の横断歩行者)やACC・LKCの向上は両方に出てくる一方で、「対歩行者への最高速度条件が60km/h→80km/hに変更」はダイハツ側にだけあり、OEM供給であること・商標がダイハツ工業の登録商標であること・販売計画400台/月・ACCやメーターの対象グレードはSUBARU側にだけありました(価格は両社とも載せていますが、ダイハツ側は画像の価格表です)。一方に記載がないことはその装備がないことを意味しませんが、1台のクルマについて知りたいことが2本のリリースに分かれて載る、という読み方ができます。

2026-09-23 更新

カーグッズ

西日で見えなくなるのは前方の人だった — サンバイザーは5つを取り戻し、サングラスは眩しさを抑えても4体は✕のままだった

秋冬の夕方、正面から入る西日。JAF(日本自動車連盟)が日照装置で西日を再現し、前方に置いた7つの対象(マネキン4体・対向車2台・信号機)が運転席から確認できるかを測った実験があります。サンバイザーを使わない状態で○が付いたのは、ヘッドライトを点灯した対向車だけ。サンバイザーを使うと、○でなかった6つのうち5つが戻り、残った信号機が✕になりました。可視光線透過率15%・30%・75%の3種類のサングラスについて、JAFは眩惑を抑える一定の効果を認めていますが、表ではマネキン4体が12マスとも✕のままです。眩しさが減ることと、見えるようになることが別だった実験を読み解きます。

2026-09-22 更新

クルマを知る

冬の空調エネルギーの半分は、窓の曇りを取るために消えている — マツダが窓の内側に塗った膜と、試算で183kmから201kmへ

窓の曇りは快適さの問題に見えます。ところがマツダ技報 No.41(2025)の論文は、曇りを取る理由の先に「安全な運転を担保するために」を置き、そのうえで課題を「低エネルギーで快適な空調」と置きます。外の冷たい空気をヒーターで温めて乾いた風を送るのが現在の防曇手法で、窓の曇りを避けるための換気により冬場の空調エネルギーのおよそ半分が失われている、と。エンジン車はその熱を排熱から借りられましたが、電動車にはその副産物がありません。論文の試算(−10℃・90%RH・乗車2人・50km/h・30分ほか)では、暖房OFFの前提256kmが外気導入100%で173kmへ落ち、現状の内外気制御で183km、吸水性の防曇窓で201kmまで戻ります。防曇材料は3種類あり、親水性は暗所で効かず水膜が凍る、撥水性は大面積化が難しい——残ったのが吸水性でした。一次資料から読み解きます。

2026-09-21 更新

クルマを知る

1つの工場で1つの機種、が世界の常識だった — 後発のホンダが選んだ「治具を10分で替えるライン」

クルマを作る機械は誰が用意したのか。ホンダが公開している「本田技研工業 75年史」第Ⅲ章 第6節「生産技術」によれば、当時の世界の主要メーカーは1つの工場で1つの機種を作るのが通常でした。小型乗用車に後発で参入したホンダはそれを採らず、本体は全機種共用・治具部は機種専用に分けた総合溶接機を開発し、治具交換台車で10分程度の切り替えを実現します。ただし機械の単位で見ればこの分け方は車体が最初ではなく、1956年のHUM盤がエンジン部品で同じ課題を解いていました(ラインとしては機種ごとの専用が長く続いた、とも社史は書きます)。河島喜好の「何にでも使える機械などはつくってくれるな」が意味するのも、1機種専用ではなく市販の汎用機を買わないことです。そして2001年、電動ロボットは自社製をやめる判断まで。一次資料から読み解きます。

2026-09-20 更新